オカルト(中心)ライターのスピンオフ原稿

キャリア28年の翻訳家/ライター宇佐和通の日々のあれこれ

いい人なんて、終わりにするぜ

60歳になったのに、自分のアイデンティティの確認が滞っている宇佐和通です。
 
僕はおとめ座AB型なのですが、さまざまな占いサイトをかけもって、最大公約数的なところをまとめると、次のような人間像が浮かび上がります。
 
観察・分析フェチ。何かにつけてえり好みが激しく、何かにつけて細かい理屈をつけたがる。知識や情報に対して貪欲。失敗を我慢できない完璧主義者。実務的で、日々起きるさまざまな出来事に素早く対処できる。平和主義者。嫌と言えない。八方美人で、便利屋になりがち。
 
特に引っかかっているのは、後の部分です。「嫌と言えず、八方美人で便利屋になりがち」という言い方には、何か拒否して嫌われるのがいやだから、大抵のことはしちゃうというニュアンスが感じられます。僕は確かに、自分の意見を通して場の空気をあえて乱すようなことはしないタイプです。
 
飲み会でも、みんなが好きなおつまみを次々に言った後、それまでに挙がっていなければ小さな声で「唐揚げ…」と言い足すようなことが多いし。却下されれば「ああ、そうだよね。もうたくさんオーダーしてるし…」とあっさり引き下がります。
2012年、ペンシルバニア大学の心理学教授によって、とある検証が行われました。対象となったのは心理学部の学生216人。3ドル渡された後、以下のような指示がアトランダムに与えられます。
ユニセフに寄付してほしい
・そのまま持っていてほしい
・好きに使っていい
最大の満足を感じたと答えたのは、貰った3ドルをそのまま持っているよう言われた学生たちでした。検証全体をプロデュースしたジョナサン・バーマン教授は次のように語っています。「人間が最も好むのは、自分本位の行動です。ただ、常に思ったまま行動するとは限りません。周囲からわがままだと思われるのを恐れるからです」
 
バーマン教授が検証を基に書いた『身勝手さのない私欲』という論文の概要に、次のような文章があります。〝自分の行動に満足できない理由のひとつとして、自分の利益のために他者の利益を犠牲にすることに対する違和感が挙げられる〟
 
何でもかまいません。自分が折れるシチュエーションを想像してみてください。相手の気持ちを尊重しすぎた上で「ああ、自分はなんていい人なんだろう」なんて思って満足することなんか、まずないはずです。〝いい人感〟の持続時間はとても短いし、似たようなシチュエーションが繰り返し起きるうち、折れる人という役割を演じる人間が決まってしまいます。だから僕は決心しました。
 
いい人なんて、終わりにするぜ。
 
今日もここまで読んでいただき、ありがとうございました。読者になっていただいた方。スターを下さる方。本当に感謝しています。それでは、次回のアップでお会いしましょう。