オカルト(中心)ライターのスピンオフ原稿

キャリア28年の翻訳家/ライター宇佐和通の日々のあれこれ

昼メロ MY LOVE

昼にテレビを見る理由が情報収集だけになり、まったく楽しめていない宇佐和通です。

 

かつて、昼ご飯を食べた後の午後のひとときはキラキラしていました。ほかでもありません。フジテレビで、昼メロの名作が次から次へと放送されていたのです。代表的なものを挙げるなら、なんといっても『牡丹と薔薇』(2004年)、そのリメイクバージョンである新・牡丹と薔薇』(2015年)、『真珠夫人』(2002年)、『真実一路』(2003年)と、まさに昼メロゴールデンエイジ。

 

関東ではフジテレビ枠なのですが、そもそもは東海テレビの制作でした。僕の東海テレビ昼ドラデビューは、1986年放送の『愛の嵐』でした。エミリー・ブロンテの『嵐が丘』をベースにしたストーリーが、大正から昭和にかけての時代を背景に綴られていきます。話の軸となるのは渡辺裕之さん演じる主人公(川端猛)と田中美佐子さん演じる良家のお嬢様(三枝ひかる)の恋なのですが、事業の失敗がらみの政略結婚、戦死したはずの猛の復活などのサイドストーリーをちりばめながら、どえらいスピードで駆け抜けていきます。抜群の疾走感においていかれないようにするため、本放送はもちろん、おさらいの意味で夜も録画を見ていました。


東海テレビ昼ドラシリーズにハマっていた理由を尋ねられたら、僕は迷わず「魅力的な悪役とエキセントリックな小道具」と答えます。たとえば『愛の嵐』なら、長塚京三さんが演じた悪役の大河原勇作。2002年の『新・愛の嵐』(要潤さん主演)で同じ役を演じた石原良純さんも、画面からはみ出しそうなダースベイダー級の存在感でした。


小道具に関しては、菊池寛の小説をドラマ化した『真珠夫人』で、浮気を疑う妻が夫に〝たわしコロッケ〟(皿の上にたわしを2つ並べ、キャベツを添えたもの)が登場しました。昼ドラの1シーンとは思えない異質感は、今でも忘れられません。そして、シリーズのおよそすべてのエッセンスが詰め込まれていると言っていいオリジナル版『牡丹と薔薇』にも〝財布ステーキ〟(値札が付いたままの革の長財布を焼いてソースをかけたやつ)という”あまりにも”な飛び道具がフィーチャーされていました。

韓流の原点は、東海テレビの昼ドラにあると思うんです。そして、東海テレビ昼ドラシリーズの底流は、アメリカの伝統的なソープオペラ(『ジェネラル・ホスピタル』や『ザ・ヤング・アンド・レストレス』)とか、90年代半ばで言えば『ビバリーヒルズ青春白書』にもリンクしていくと思います。

あの時代の、息を詰めて見たような鮮烈なエンタテインメントの復活を望んでいる人は大いに違いありません。いまさらながら、まったく新しいファンサイトでも立ち上げてみようかな。

今日もここまで読んでいただき、ありがとうございました。次回のアップでお会いしましょう。