オカルト(中心)ライターのスピンオフ原稿

キャリア28年の翻訳家/ライター宇佐和通の日々のあれこれ

自分を売る喋り:Pitching

ここのところ企画のプレゼンがうまくいっていて、自分が伝えたいまさにその部分を伝えるテクにさらに磨きをかけたいと思っている宇佐和通です。

 

 

今日はいわゆるセールス・ピッチということで話を進めさせていただきます。どんな仕事をしていても、自分を自分たらしめる、自分を売り込むための最高の売り文句=ベストピッチは、誰もが持っているべきものだと思うのです。


80年代の伝説的AV監督、村西とおるさんは、かつて英語版百科事典のセールスマンをしている時、現在の価値で100万円ほどする商品を月間で40セットも販売し、トップセールスマンになったことがあるそうです。「英語ができないとマフィアと対等な付き合いができませんよ」と言ってその筋の人たちにも売ったというエピソードも有名です。売上が優秀だった理由は、もちろんピッチが秀逸だったからにほかなりません。

 

 

僕には、どうしても忘れられない二人の名ピッチャーがいます。まずは実演販売の現場からゴールデンタイムの番組にも活動の場を広げたマーフィー岡田さん。テレビでは秋葉原の〝ザ・実演販売職人〟といった扱いでした。売り場でのグルーヴ感そのままの「見て、見て、見て見て見て」とたたみかけるフレーズに乗せ、商品のセールスポイントを紹介していきます。何かほかのことをやっていても、その心地よいテンポに思わず引き込まれて見入ってしまう名人芸です

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もう一人は、博多華丸さんのものまねレパートリーにも入っているトーカ堂社長の北義則さん。上半身をちょっと斜めにして、ゲストの芸能人―たいてい二人―から遠ざかるような動きをしながら、「はぁい、はぁい」という独特のイントネーションで相槌を打って、滞りなく進行していきます。そして最後の最後に、それまでの声の張り具合からトーンを変え、「さんまんきゅうせんはっぴゃくえ~ん…」と値段を告げるくだりがキラーフレーズとなります。一拍あって、ゲスト芸能人とスタジオの観客の「えぇーっ!?」というどよめきが響き渡り、エンタテインメントとしての商品プレゼンは、ここできっちり帰結するのです。もう、パフォーミングアートと言ってもいい完成度です。

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口下手。引っ込み思案。緊張しい。自分のピッチのキレが悪いことを仕方なく納得するための言い訳はいくらでもあるでしょう。ただ、そんな表層的な要因が成功と失敗を絶対的に分けるとは思えないんです。自分オリジナルのピッチを完成させることに意識を向ければ、自分像がより明確に見えてくると思うのです。

 

今日もここまで読んでいただき、ありがとうございました。次回のアップでお会いしましょう。