オカルト(中心)ライターのスピンオフ原稿

キャリア28年の翻訳家/ライター宇佐和通の日々のあれこれ

現場主義と文献学的アプローチ

並木伸一郎先生や矢追純一さん、そして高野誠鮮さんに現場主義の大切さを徹底的に叩き込まれている宇佐和通です。

 

文章を書く際には取材やインタビューをはじめ、現場での作業でカバーできる要素だけで構成を立てられればいうことはありません。すべて自分の手で得た要素だけで構築していくので、理想的です。しかし、手がけるすべての文章を現場で得た情報でまかなうというのは現実的ではありません。

 

そこで、書籍とか新聞・雑誌の記事、もちろんネットで得る情報で構成要素を集めていくわけですが、これを文献学的アプローチと呼ぶことにしています。情報の取捨選択方法も含め、これも大切な段取りです。

 

僕が目指しているのは、現場主義と文献学的アプローチのちょうどいいところ見つけ出すということです。90年代の半ばには都市伝説関連の単行本を数多く書いていて、当時は一般的になり始めたウィンドウズ95PCの掲示板と物理的な街頭インタビューでさまざまな話を集め、文献学的アプローチで集めた資料と照らし合わせて文章を書くという作業をしていました。今考えると、あの時の方法が自分にとってバランスが一番良かったと思えるのです。

 

現場取材で得た情報は、聞いて知っただけの情報とはちょっと違うのです。これは、書いていて自覚できるので、読んでいただく方々も確実に感じると思います。言い回しを自分のものにしているというか、もっと漠然とした言い方をするなら、行間まで雰囲気で埋めるというか…。だから僕は、可能な限り現場で集めた情報を基に自分なりの文章を書き起こすことを心がけています。

 

今日もここまで読んでいただき、ありがとうございました。次回のアップでお会いしましょう。