オカルト(中心)ライターのスピンオフ原稿

キャリア28年の翻訳家/ライター宇佐和通の日々のあれこれ

主張することの力と、その方向性

今日は本当に何も変わったことがない1日を過ごしきった宇佐和通です。

 

ここ数日、主張することの力について考えています。舞台はフランス、全仏オープン。お題は、女子ダブルスのあの試合です。

 

問題の試合で、相手ペアのマリエ・ブズコヴァ(チェコ)とサラ・ソリベス・トルモ(スペイン)が、加藤選手が「コートの反対側に建っていたボールガールに向けてボールをラケットで送ったところ、肩に直撃して、彼女はショックを受けて泣き始めた」のを見て危険行為であると主張しました。これが最初の主張です。この行為自体に問題はないと思います。プロのプレイヤーなのだから、経験則的に違和感を覚えて抗議という行動に出たのでしょう。

 

ただ、主審が「問題なし」と判断して試合を再開しようとしているところで、問題となる主張の場面になります。「わざとじゃないか」「血が出ている」と抗議して、最終的にはスーパーバイザーが出てきて、抗議の的となった日本の加藤未唯選手は失格となりました。

 

その後ブズコヴァ選手とトルモ選手はプロテニス界からだけではなく世界中からのものすごい抗議にさらされ、一時はインスタも閉鎖したそうです。その後「ボールはビデオに映っている2倍の速度で当たっていた」という”論拠”を頼りに反論に出ましたが、この主張の方向性は間違っていたようです。そりゃそうだ。実際に見ていようと、ビデオに映ったものであろうと、時速20キロで動くものは時速20キロでしかないのです。あのビデオを見て、あるいはあの試合を見ていて、ボールガールが出血していると思った人はどのくらいいるのでしょうか。こういう無理な方向性の主張は、自分の首を絞めることにつながりますね。ちなみに、抗議の主張を行っていた時のこの二人を見て、シンデレラのお姉さんはこういう顔だったに違いないと思いました。

 

ミックスダブルスで優勝した後、加藤選手はSNSで呼びかけました。「女子ダブルスの対戦相手だったサラとマリエへ またどこかで対戦して、素晴らしい試合をしたいと思っている」というメッセージを送ったのです。

 

サラとマリエは、少しの味方と数えきれないほどの敵に囲まれています。今後の彼女たちのプレイヤーとしての姿勢、アスリートとしての姿勢に注目していきたいと思っています。

 

今日もここまで読んでいただき、ありがとうございました。次回のアップでお会いしましょう。