オカルト(中心)ライターのスピンオフ原稿

キャリア28年の翻訳家/ライター宇佐和通の日々のあれこれ

僕が文章を書くときに使わない言葉

怒涛の6月が終わったと思ったら、さらなる怒涛の7月が始まったことを自覚して身の引き締まる思いをしている宇佐和通です。

 

みなさん、文章を書いていて、お気に入りの言い回しとかフレーズとかってありませんか? またその逆で、「こういう文章は避けたい」って思う響きもあると思うんです。昔は使っていただろうけれど、そしてその意味が広く知られていただろうけれど、「今はどうかな」っていうグループの言葉もあると思うんです。

 

たとえば「丁々発止」ってなかなか使いませんよね。僕の場合、少なくともこの10年は話し言葉で使われているのを確認していません。じゃあ、書き言葉として使われているかといえば、こちらも頻度はかなり低いのではないでしょうか。辞書的な意味としては、「激しい音を立てて刀で打ち合うさま」となっていますが、これは具体的にイメージしにくいですね。刀持ってる人のほうが珍しいし。それで打ち合うさまっていうのは、音も含めて、形容に使う言葉としては役目を終えてると思うんです。

 

自分が書く文章では、4文字熟語は極力使わないようにしています。見た目が重々しいし、「挙案斉眉」(きょあんせいび)って意味わかりますか? 辞書を調べなければわからない言葉が使われている文章なんて、伝えるというところですでに失格だし、意味がないと思うんです。

 

形容について言えば、「蜘蛛の子を散らすように逃げる」的な表現も使いません。だって、蜘蛛の子を散らしたところ、見たことないんですよ。見たことない状況を形容に使って書くっていうのはできないですね。

 

マーク・トウェインは、「私の本は水だ。偉大な天才の本はワインだ。しかし、みんな水を飲む」という言葉を残しています。子どもであれ老人であれのど越しよく体にしみわたっていく水のような文章。僕もそういう文章を書きたいです。

 

20年くらい前、やたら四文字熟語を連発する文章が大好きらしいライターがいました。どんなジャンルの文章でも一段落に必ず一つ、乗ってきたら三つくらいぶち込む奴がいたんです。飲み会の時に、「なんでそんなに四文字熟語入れちゃうの」って訊いたら、「リズムが生まれるし、意味がビジュアルな感じで伝わるじゃないですか」って返されました。リズムが生まれるって…。さらには、ビジュアルな感じで伝わるって…。僕とは全く違うタイプのライターでした。

 

というわけで、ひたすらわかりやすく、伝わりやすい文章を書いていこうと思っています。今日もここまで読んでいただき、ありがとうございました。次回のアップでお会いしましょう。