オカルト(中心)ライターのスピンオフ原稿

キャリア28年の翻訳家/ライター宇佐和通の日々のあれこれ

都市伝説⇒ネットロア

40年前から都市伝説にのめり込み、ライフワークにしている宇佐和通です。

 

僕はそこそこの数の都市伝説関連本を書かせていただいていて、今もいくつか企画をあたためているのですが、ここ10年くらいちょっとした違和感を覚えています。違和感というのは、都市伝説という言葉でくくられる数々の話の進化のスピードがものすごく上がっているという実感です。

 

かつての時代、都市伝説というのは「友達の友達がさ…」という言葉で始まる、起承転結が見事に流れる奇妙な話を意味するものでした。90年代は新宿とか渋谷とか、あるいは池袋でありとあらゆる年代の人たちに話しかけ、知っている都市伝説を聞かせてもらって集めるというフィールドワークをしていて、それをデータ化して本を書かせていただいていました。

 

物理的な言葉のやり取りを介して人から人へという形で、ディテールを変えながら広まっていくというのが都市伝説の都市伝説たるゆえんだったのですが、最近のステージは、ほぼ100%SNSになりました。それに、動画媒体が圧倒的になりました。深夜のファミレスでしていたような話が、完成度の高い動画という形で、しかもきわめて短い時間枠の中で驚くほど多くの人たちに広がるようになったのです。こうした動画を、便宜上ネットロアと呼ぶことにします。そもそもはウィンドウズ95の普及にともなってごく普通のツールとなったメールで広がったものですが、文字情報として広がっていたものが動画という誰の目にも明らかなメディアを得たのです。

 

ただ面白いのは、どんなネットロアにも口伝えで広まっていた時代の”原話”の香りが感じられることです。実は今、このあたりの面白さを掘り下げていく企画を考えていて、詰めの段階に入っています。昔書かせていただいた本では一つの話を徹底的に追いかけて、掘り下げていくというやり方をしたのですが、今考えている企画ではできるだけ多くの話に触れて、内容の紹介だけではなく原話バージョンとそれが生まれた過程や背景に注目していく、みたいなことを考えています。企画書が出来上がり次第、プレゼンに移りたいと思っています。ちょっとやる気になっています。

 

今日もここまで読んでいただいてありがとうございました。次回のアップでお愛しましょう。