オカルト(中心)ライターのスピンオフ原稿

キャリア28年の翻訳家/ライター宇佐和通の日々のあれこれ

「よかれと思って」は危険なフレーズ

月末に向けて〆切&支払いのさばきでとっても忙しい宇佐和通です。

 

ハラスメントという言葉がやたら増殖している気がします。辞書的な意味は〝嫌がらせ〟とか〝苦しめること〟ということですね。 セクハラ、パワハラから始まって、マタニティー・ハラスメントやアカデミック・ハラスメントなど、新しいバリエーションも生まれています。そして数ある中でも、最も認知度が高まっているのがモラル・ハラスメントでしょう。

 

モラル・ハラスメントという言葉を生み出したのは、マリー・フランス・イルゴイエンヌというフランス人精神科医です。イルゴイエンヌ女史自身は、この言葉を次のように定義しています。「加害者のパーソナリティによる嫌がらせ行為で、自己愛がきわめて高い人が加害者になりやすく、ターゲットに決め人間に対する攻撃は執拗で、対処法を簡単に見つけることはできない」



この場合、自己愛という言葉の取り扱いがちょっと難しいかもしれません。いくら自分が大好きであっても、相手を選ばず訴え続ける人はそうそういないでしょう。ただ、自己愛が異常なほど高い人は、自己愛性パーソナリティ障害と診断される可能性があるようです。〝異常なほど高い〟ことを見極める具体的な指標はあるのでしょうか。


自己愛性パーソナリティ障害の第一の特徴として挙げられるのは、他人に見下されたような態度を取られたり、馬鹿にされたりするのに耐えられないことだといわれています。周囲の人たちと自分を同一線上に並べることができず、常に自分との比較対象にしてしまうのです。『サイク・セントラル・ドット・コム』というウェブサイトによれば、具体的な例として次のような特徴が挙げられます。 

 ・自分の才能や業績についてはなはだしく脚色した話を伝え、優位に立ちたがる
・成功や権力、美しさ、優秀さなどについての妄想が無限に広がる
・自分は特別な存在であると信じて疑わない
・必要以上の尊敬や称賛を強いる
・自分の利益のために他者を利用する
・嫉妬心が異常に強い
・誰に対しても傲慢な態度が目立つ

www.psychcentral.com.au

いわゆるソシオパス(社会病質者)やサイコパス(精神病質者)とクロスオーバーする部分がかなり多いようですね。

 

ハラスメントに話を戻します。「相手のために」というニュアンスを込めた巧妙な言葉遣いで罠を仕掛けるハラッサーは、ありとあらゆる場所にいます。親やパートナー、そして同僚や上司が、何気ないひと言で豹変することもあるようです。家庭でも職場でも、何も考えないまま言葉を発するのは控えた方がいいかもしれません。何気ないひと言で「見下された」とか「馬鹿にされた」と少しでも感じたら、そこを起点にハラスメントが一気に加速していきかねないのです。そして、ハラスメントは一度始まると簡単には終わりません。基本的にハラッサーとハラッシー(ハラスメントを受ける人)しかいない閉鎖空間でしか起きない現象なので、他の人が知る可能性がきわめて低いのです。だから、一度ターゲットになってしまったら、根本的な解決としては物理的に顔を合わせないようにするしかないようです。

 

今日もここまで読んでいただき、ありがとうございました。次回のアップでお会いしましょう。